水面に群生するカキツバタの風景は見事なものです。
また1本だけのカキツバタの凛とした姿もとても美しいですよね。カキツバヤは日本人に愛され続けている花の一つです。
奈良時代、平安時代には多くの詩人がカキツバタの美しさを表現してきました。ここでは、カキツバタの和歌、短歌、俳句などをご紹介したいと思います。
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カキツバタは和歌や俳句や短歌にたまに出てくる植物
カキツバタはいつを表す季語?
カキツバタは和歌や俳句や短歌に登場する植物です。
俳句には「季語」を入れなくてはならないというルールがあることはみなさんご存知だと思います。
奈良時代の詩歌にはすでに季語が使われており、平安時代には季語のルールが成立していたのです。
それでは、カキツバタの季語は一体いつなのでしょうか。
カキツバタの季語を調べてみると「仲夏(ちゅうか)」であることがわかりました。
日本の夏は初夏、仲夏、晩夏と3つに分けられています。
カキツバヤは夏のど真ん中の季節の花ということですね。仲夏は6月中旬から7月中旬の時期です。カキツバタの開花時期をほぼ合っていますね。
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カキツバタにまつわる和歌、短歌、俳句は?
カキツバタにちなんだ有名な和歌は?
カキツバタの有名な和歌と言えば「伊勢物語」の中で、在原業平が詠んだカキツバタの歌がとても有名です。
在原業平は妻のいる江戸を離れ、仲間とともに旅を続けていました。
その一行が美しいカキツバタを見つけます。そして一行の中の一人が「カキツバタという5文字を和歌の頭文字に置いて、この旅の気持ちを詠みなさい」と言ったのです。
そこで在原業平は「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」という歌を詠んだのです。
この歌の意味は「何度も着てなじんだ衣のように、長年なれ親しんだ妻が都にいるので、その妻を残したままこんな遠くまで旅をしてきてしまった旅のわびしさをしみじみと思うことだ」というものです。
この歌を聞いた一行はみな涙を流しました。
美しいカキツバタの花のように美しい歌ですね。きれいなカキツバタの姿を美しい妻の姿に重ね合わせたのかもしれませんね。
カキツバタにちなんだ有名な短歌は?
カキツバタは、昔から染料として使われてきました。「書き付け花」と呼ばれていたものが変化して「カキツハタ」→「カキツハダ」となったのです。
万葉集にある大伴家持の有名な和歌では、染料としてのカキツハダが表現されています。
「かきつはた 衣(きぬ)に摺(す)り付け ますらを 着襲ひ(きそひ) 猟(かり)する 月は来にけり 」。
カキツハダの花を着物に摺りつけて染めて、ますらを達が狩りをする時期が来たという意味です。
カキツハダが着物を染める材料として使われていたことがわかりますね。
カキツバタにちなんだ有名な俳句は?
カキツバタにちなんだ俳句はたくさんあるのですが、その中から松尾芭蕉の有名な俳句をご紹介しましょう。
「杜若 語るも旅の ひとつ哉」。これは江戸からはるばる大阪まで旅してきた松尾芭蕉が大阪の旧友と会った時に詠んだ俳句です。
庭に咲くカキツバタ(杜若)を見ながら、「伊勢物語」で在原業平が詠んだカキツバタの歌を思い出し、旅先で旧友とそんななつかしい昔話をするのも旅の楽しみの一つだという意味の歌です。
カキツバタと言えば「在原業平」というのは有名な話だったのですね。
まとめ
カキツハダの和歌や短歌や俳句をご紹介してきました。昔の人は美しい草花を歌に表現してきました。
時代が変わっても同じ日本人として共感できるものが多いですね。美しい姿のカキツハダは多くの和歌や短歌や俳句に登場します。
もっとも有名な歌は「伊勢物語」の中で、在原業平が詠んだ歌ですが、それ以外にもたくさんの和歌があります。
歌の題材として人気があった植物であったことがわかりますね。カキツハダの季語は、やはり開花時期に合わせた仲夏でした。
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